Japanese
English
講座 神経損傷部位と症状・3
脳梁離断症候群
Callosal disconnection syndrome.
吉澤 浩志
1
,
鄭 秀明
1
Hiroshi Yoshizawa
1
,
Hideaki Tei
1
1戸田中央総合病院神経内科
1Department of Neurology, Toda Central General Hospital
キーワード:
脳梁
,
離断症候群
,
交連線維
,
大脳側性化
Keyword:
脳梁
,
離断症候群
,
交連線維
,
大脳側性化
pp.861-866
発行日 2006年9月10日
Published Date 2006/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100375
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はじめに
脳梁は左右大脳半球を結ぶ約2億本の交連線維からなり,構造的にも機能的にも左右大脳半球を統合する働きをもっている.左右の半球はそれぞれ別個の機能局在をもっていることがわかっており,ヒトはこれらを統合し,調和して一定の行動をとっている.したがって,脳梁損傷によって生じた障害(脳梁離断症候群)を通して,左右半球を連絡している機能を明らかにすることができるだけでなく,左右半球の機能局在の再確認をすることができるため,神経科学の立場からは非常に示唆に富む症候群である1).
臨床的には,患者のdisabilityを評価し,リハビリテーションにもち込むためには,症候の正確な理解が必要と考えられる.脳梁損傷に伴う症状は単に観察するだけでは「見えにくい」症状であり,積極的に介入し,診察,検査をしていく態度が望まれる.
本稿では主にリハビリテーション場面での応用を想定し,脳梁離断症状の病態とその機序の理解,適切な評価方法,また,リハビリテーションに関する過去の報告について記述し,最後に脳梁研究の今後の方向性についても触れたい.
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