Japanese
English
特集 右脳,左脳とリハビリテーション
離断症候群とリハビリテーション
Disconnexion Syndrome and Rehabilitation.
畑 隆志
1
,
鈴木 秀一
1
Takashi Hata
1
,
Syuichi Suzuki
1
1北里大学内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Kitasato University.
キーワード:
離断症候群
,
脳梁
,
前大脳動脈
,
脳梗塞
,
他人の手徴候
Keyword:
離断症候群
,
脳梁
,
前大脳動脈
,
脳梗塞
,
他人の手徴候
pp.869-878
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105949
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はじめに
大脳皮質に種々の高次神経機能の中枢が存在し,その障害により失語,失行,失認などのいわゆる皮質症状が引き起こされるという局在論を,疑うものは現在の神経心理学の世界にはいないであろう.一方,それら各々の中枢を結ぶ連合線維・交連線維の障害による高次神経機能の障害の存在も曲折を経て確信されるにいたった1).中でも左右大脳半球を結ぶ交連線維の障害によって引き起こされる一連の症候は,(半球間)離断症候群(Disconnexion syndrome)として注目を集め,大脳機能に対する半球の優位性の問題を含めて盛んに議論されるようになっている2~4).さらに近年の神経放射線学(CT,MRI)や核医学(PET,SPECT)のめざましい進歩により,生前に解剖学的診断のみならず,機能的な診断まで可能になりつつある.また高次神経機能の臨床的な検査方法も進歩して,神経心理学的な病態をさらに明確にできるようになった.
今までは実際の神経内科の臨床の場で離断症候群をみることは決して多くないと思われていたが,臨床検査と神経放射線の進歩から考えると決して少ないものではないように思われる.本稿では,離断症状とは何か,その臨床像と検査法,その経過とリハビリテーションの可能性について実際の症例に触れながら述べてみたい.
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