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最近になり,「退院支援」が頻繁に取り上げられるようになったが,退院時指導,退院前訪問などの取り組みは,ずっと昔からリハビリテーション科が実践してきた.今,拍車がかかっている理由は,高騰しすぎた医療費の削減のため,医療から介護への費用移行の勢いが年々増してきていると捉えてよいであろう.そして,そこには「地域包括ケアシステム」が絡んでいる.
本特集「通院・通所における理学療法を再考する」から,このような制度変遷のなかで,わが国が示し始めた照準にリハビリテーションの軌道を合わせるための再考のよい機会になればと考える.渡邉幸勇先生には,整形外科領域における通院の理学療法について述べていただいた.本稿に書かれている「疾患別リハビリテーションでも通所におけるリハビリテーションでも理学療法士が行うことは変わらない」とは,私もよく臨床で口にする言葉である.土井博文先生の中枢神経疾患における外来の理学療法では,主に在宅の中枢神経疾患患者をクリニックで支援する先駆的で貴重な取り組みが述べられている.北川知佳先生には,呼吸器疾患領域における通院の理学療法ついて述べていただいた.呼吸器専門の有床診療所であり,在宅で生活する呼吸器疾患の患者を通院から通所,訪問まで,疾患がある程度限定されたうえで包括的に支援する形は,今後の理学療法提供のあり方を再考するうえで参考となる.島田達也先生の介護保険制度における通所の理学療法では,通所リハビリテーションと通所介護の両方について詳細に述べられている.平沼勝也先生の障害児・障害者における通所理学療法では,医療情報の得られにくさなど,介護保険制度との温度差が感じられ,福祉を基盤として進歩した場面での理学療法のあり方などの課題が山積していることを痛感する内容であった.偶然にも,入門講座で小原裕次先生による「はじめての外来指導」が取り上げられており,より新鮮に感じられる.
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