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編集後記
金谷 さとみ
pp.1400
発行日 2021年12月15日
Published Date 2021/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202533
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転倒が原因の大腿骨近位部骨折の発生率は,高齢化率とともに今も増え続けています.それでも欧米に比べると低いようで,それを脚長と関連づける医師もいます.いずれにせよ,その発生率の高さをみると,転倒予防を担うわれわれ理学療法士としては気がかりでなりません.本号の特集は,今や脳卒中と並ぶ理学療法の代表的な疾患となった大腿骨近位部骨折について,あらためて熟考する機会になったと思います.
森田論文では疫学と発生機序に関する貴重な最新情報が述べられており,これらは受傷後の理学療法だけでなく,転倒予防にかかわる理学療法士にも有益な情報ばかりです.草場論文では大腿骨近位部骨折の分類やそれに適応した外科的治療について,わかりやすく解説されています.髙井論文では周術期の理学療法を実施するうえで欠かせない画像の診かたとその解釈について,実践に基づいて述べられており,必見です.青戸論文では筋力増強に着目し,単なる強化ではなく戦略的なアプローチについて述べています.安藤論文は歩行能力の獲得に関して,田中論文では大腿骨近位部骨折の予後と不良因子について,いずれもエビデンスを踏まえて解説されています.松本論文では骨折後の高齢者に対する骨折リエゾンサービスによる再転倒予防のための理学療法士の評価や運動指導の重要性について述べられています.大腿骨近位部骨折について,今までにない切り口で組み立てた本特集はとても興味深く,どの論文も読みごたえのあるものでした.
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