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2016年は2年ごとにくる診療報酬の改定の年です.全体ではマイナス改定となるなかで,リハビリテーションにかかわる部分ではどのような形となって現れるのでしょうか.「とびら」で加藤氏が述べておられるように,施設によっては大きな変革が必要となることもあろうかと思います.医療機関にお勤めの方にとっては気が気でない時期であろうと思います.
さて,今月号の特集は「最新の糖尿病治療と運動療法」です.厚生労働省は「2014年患者調査の概況」を発表し,糖尿病患者数は前回調査(2011年)から46万6,000人増えて,過去最多の316万6,000人になったとしています.先に述べたリハビリテーションの診療報酬との兼ね合いでは何かと問題がある糖尿病ですが,理学療法士が対象とすべき疾患と症候であることは明確で,今後私たちが対応することが増す領域だと考えます.𠮷岡論文では,食事療法と薬物療法について概説していただきました.歴史的な流れを具体的にご提示いただくとともに,高齢糖尿病患者の問題にも触れていただきました.病態と個々の状況に応じた治療のあり方の大切さがよく理解できます.佐藤論文では,運動療法に関するエビデンスを幅広くお示しいただきました.同時に理学療法士の糖尿病治療への参画に強い期待をお寄せいただきました.石黒論文では,糖尿病と理学療法士とのかかわりを過去から遡ってご提示いただきました.そして,未来に向かって理学療法士がとるべき方向性と担うべき役割を示していただけたと考えます.片田論文は糖尿病のチーム医療における理学療法士の役割を概説し,具体的な症例を提示して,チーム医療の有効性を示していただきました.天川論文は,豊富な糖尿病外来での経験をもとに,実践的な理学療法士の取り組みをお示しいただきました.いずれの論文も糖尿病治療のこれまでの歴史的経緯,現在の動向を知り,理学療法士として取り組むべき課題を考えるうえで,本特集は示唆に富んだものとなったのではないかと考えます.
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