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今月の特集は「がん患者のリハビリテーションと理学療法」です.2008年にも本誌で特集を組みましたが,2006年の「がん対策基本法」制定以降,専門的な知識および技能を有する医師や医療従事者の育成が進められ,2010年には「がん患者リハビリテーション料」の新設など新たな展開がありました.がん患者に対するリハビリテーションにも大きな期待が寄せられているのが現状であると思います.田沼先生には,この分野への取り組みの先達者としてがん患者に対するリハビリテーションの役割を概説していただきました.竹内先生はサイコオンコロジーの立場から,がん患者の心の問題をわかりやすく解説され,理学療法士自身では気づきにくいリハビリテーションスタッフの関わりの重要性も指摘して下さいました.額田氏,中村氏には,理学療法士が関わるときに直面する疾患自体の病勢や治療の副作用による体力消耗状態,動作や活動の制限となる骨転移の問題について,臨床での豊富な経験をもとに,理学療法の進め方や留意点についてまとめていただきました.井上氏には,造血幹細胞移植治療への積極的な理学療法介入について所属施設の取り組みをまとめていただきました.どの論文も示唆に富むものであり,理学療法の対象分野として標準的な取り組みを検討していくべき時期であると強く感じることができるのではないでしょうか.
その他,春先の恒例企画として「新人理学療法士へのメッセージ」が掲載されています.新人のみならず,中堅,ベテランの方も新鮮な気持ちになれる元気の出る言葉を寄せていただきました.入門講座では「理学療法における接遇とコミュニケーション」が始まりました.理学療法士として人に関わる際の基本として一定のレベル以上は必ず確保しておきたい領域であり,しっかりと見直していきたいものです.
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