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明けましておめでとうございます.2014年は診療報酬の改定年です.改定の骨子も見え始め,医療機関にお勤めの方は年度末に向けて期待と不安の入り混じった時期でもあろうかと思います.真摯に理学療法を実践することは変わらないとしても,適切なバランスのとれた報酬とはいったいどのくらいのものなのか,普段は忘れてしまいがちなことを考えさせられる時期でもあります.
今月の特集は「バランスupdate―実用的な動作・活動の獲得のために」と題して,代表的な疾患や障害を取り上げ,各々のバランス障害にかかわる特徴や実践的な理学療法について論じていただきました.澤田論文では,脳卒中患者におけるバランス障害について丁寧な解説と多くの図を用いて具体的な介入方法を示していただきました.八谷論文では,パーキンソン病患者のバランス障害に関する評価,治療介入について文献を示しながら解説していただきました.大島論文では,下肢関節症患者のバランス障害について,関係の深いロコモティブシンドロームにも触れていただき,質的改善をめざしたトレーニング方法を述べていただきました.大羽論文では,高齢者のバランス障害の特徴の解説と筆者らの具体的な実践例が述べられています.杉原論文ではバランスに関して重要な位置づけである前庭感覚に焦点をあてた理学療法の評価と実践,リスク管理について示していただきました.疾患,障害,加齢などによる修飾が加わったうえで,個々のケースでバランスという複合的な概念をとらえるには,丁寧な観察,評価が大切であることがどの論文でも示されています.日々の理学療法のなかで,実用的な動作・活動の獲得に向けた考察を深めていくのに本特集はきっと役立つものであると考えます.
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