特集 バランスupdate―実用的な動作・活動の獲得のために
パーキンソン病患者におけるバランス障害と理学療法
八谷 瑞紀
1
,
村田 伸
2
,
大田尾 浩
1
,
浅見 豊子
3
Mizuki Hachiya
1
1西九州大学リハビリテーション学部
2京都橘大学健康科学部
3佐賀大学大学院医学系研究科
キーワード:
パーキンソン病
,
理学療法
,
バランス障害
,
バランス能力向上
Keyword:
パーキンソン病
,
理学療法
,
バランス障害
,
バランス能力向上
pp.15-23
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106516
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
パーキンソン病は安静時振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害という4大症候を中心に,さまざまな自律神経症状,精神症状を特徴とする進行性の神経変性疾患である.日本の有病率は人口10万人あたり100~150人である1).高齢になるほど有病率は高くなる傾向があり,日本の高齢者人口の増加に伴い患者数も増加している2).病理としては,黒質のドーパミンニューロンの減少が主体となる.その結果,パーキンソン病由来による振戦,筋固縮,無動,姿勢反射障害などの一次的な機能障害が出現する.また,疾患の進行に伴う廃用症候群,老化,長期の薬物治療などの影響により出現する二次的機能障害がある.さらに,以上のような要因が複合的に重なることで,バランス障害,歩行障害,認知症などの機能障害を呈する.バランス障害は,不安定な立位および歩行を引き起こし,転倒や骨折の原因となり得る.このため,パーキンソン病患者に対してバランス能力を改善する理学療法を実施することは,安定した日常生活を送るためにも重要となる.
本稿では,パーキンソン病患者のバランス障害の特徴を概説し,バランス能力の評価法と結果が示す意義,およびバランス能力の向上を目的とした理学療法の方法と効果について述べる.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.