特集 早期理学療法―そのリスクと効果
早期理学療法―呼吸循環器系(酸素搬送系)へのアプローチ
高橋 哲也
1
,
安達 仁
1
,
谷口 興一
1
Takahashi Tetsuya
1
1群馬県立循環器病センター
pp.629-636
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105618
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1.はじめに
疾患を問わず,早期に理学療法を開始する重要性が指摘されて久しい.それは単に入院期間の短縮や医療費抑制の観点からだけではなく,その後の生命予後や社会復帰に有益であることが,1940年代に負傷した兵士を早期離床させた経験や,1960年代の宇宙開発に伴うbed rest研究によって証明されてきたからである.Bed rest(いわゆる「無為臥床,寝たきり」)による呼吸循環器系の退縮は速やか(24時間以内)に起きるといわれ1),高齢者では数日間の安静臥床でも無視できず,早期からの理学療法が極めて重要といわれる所以である.
本特集では疾患ごとではなく,障害レベルでのアプローチに焦点をあてる目的で,本稿の呼吸循環器系を1998年の日本理学療法士協会全国研修会で山田2)によって提案された「酸素搬送系(oxygen transport system)」ととらえ稿を進めたい.
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