今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
リンパ系疾患へのアプローチ
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.1712-1713
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219236
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免疫機能をつかさどる3つの細胞
免疫機能をつかさどる系統は,3つの細胞から成り立っている.これらの細胞は,発生学的,機能的,形態的に異なっている.胸腺(Thymus)由来のT lymphocyte,Bursa(哺乳類では骨髄)由来のB lymphocyte,およびマクロファージ(血液中の単球,組織中の組織球)が3つの細胞である.これらのstem cellは胎生中に肝・脾・骨髄へ移行し,そこで膜面抗原の変化とともに,機能面における分化が進んでゆく.しばらく前までは膜面免疫グロブリンの存在の証明によってBlymphocyteを定義づけ,また,ヒツジの赤血球に対する受容体の存在によりT lymphocyteとした.しかし,モノクローナル抗体の開発,免疫グロブリン遺伝子の研究から,lymphocyteの分化・機能に関して,さらに解明されるようになってきた.
胸腺は胎生8週に胸腔へ移動してくるが,この時期に胸腺中へ胎児の肝と骨髄から幹細胞が入りこみ,胸腺細胞や,さらに分化したT lymphocyteの膜面抗原を発現してくる.T lymphocyteの発達は胎生の16〜18週で終了するが,この時点で脾臓やリンパ節などの,いわゆるリンパ系臓器にも存在するようになる.
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