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緒 言
血栓形成に関しては,血管,血流,血液が三大要因として古くからとりあげられ,これらの面から多くの研究が報告されている。なかでも血液成分と血栓形成の関係については,凝固や線溶とともに血小板の関与が近年とくに注目され,この血球の機能や代謝に関する研究は多方面でとりあげられている。著者らは,血小板の最も重要な機能と考えられる凝集や粘着の機序と,血栓形成,および血小板と過酸化脂質の問題を糖尿病患者,網膜静脈血栓症,正常者の血清から解明し,血小板機能と過酸化脂質の関連性とその意義について検討を試みた。すなわち糖尿病にみられる凝固異常の主体は,基礎疾患である糖尿病の進展に伴う脂質代謝異常に基づく血栓形成傾向,さらに糖尿病の予後を左右する血管障害を血液レオロジーの立場から考える時,Dormandyらのいうように血液粘度と過酸化脂質が関係があるとするならば,糖尿病の血管障害すなわち微小循環障害の原因を解明する上で血清ならびに血球中の過酸化脂質を測定することは意義がある。また網膜静脈血栓症における血小板の意義は未だほとんど不明であるが,発症機序の解明を考えるとき,血小板機能と過酸化脂質との関係が検討されねばならない。著者らはかかる観点より,細小血管病変と血.小板粘着能,凝集能,および血清過酸化脂質の関連性を検討したので,ここに報告する。
We evaluated the platelet aggregation and platelet adhesiveness in 58 cases with diabetic retinopathy, 20 with occlusion of central retinal vein and 18 control subjects. We also measured the serum lipoperoxide level in these subjects.
An increased platelet aggregation was present in cases with advanced diabetic retinopathy. This tendency was more pronounced in cases in whom the diabetic retinopathy had been pre-sent over a period of 6 to 10 years. In cases with moderate diabetic retinopathy, the platelet aggregation was correlated with the state of blood sugar control.
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