医療の周辺 人間工学—病院建築への提言・6(最終回)
物の流れと搬送系
古川 俊之
1
1東京大学医学部医用電子研究施設
pp.880-881
発行日 1980年10月1日
Published Date 1980/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207272
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病院では診療機能を遂行するために,人だけでなく多くの物品を移動する必要がある.このことは病院が3食ルームサービスと医療行為のついたホテル業務であることから,むしろ当然と考えられる.病院内で搬送される対象には,物品の他に情報の媒体があり,更に移動に他人の介助を要する患者があることに留意しなければならない.のみならず健康人,なかでも医療スタッフの移動にも,医療器材同様なんらかの便宜を工夫しておくことが望ましい(表1).
搬送を円滑化するにはなんらかの機械システムを導入する必要がある.もっとも原始的であるが有効かつ確実なのは運搬車で,車いすやストレッチャーもこれに含まれるが,いずれも人力による移動を容易ならしめる工夫である.これと対極に位置するのは,交換機能をもった搬送系で,指定した場所に自動的に配送される(表2).そこで病院の機能遂行上,どのような搬送システムが望ましいかを人間工学的立場で考えてみよう.
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