Japanese
English
特集 中高年脳性麻痺者の問題点
脳性麻痺者の加齢に伴う二次障害の予防と対策
Problems of the Cerebral Palsied in Middle and Old age: Aging and Age-related Disorders in the Patients with Cerebral Palsy; Prevention and Treatment of Secondary Age-dependent Complications in the Cerebral Palsied
関谷 博之
1
,
前 憲作
2
,
喜田 義次
3
Hiroyuki SEKIYA
1
,
Kensaku MAE
2
,
Yositugu KIDA
3
1大阪府立身体障害者福祉センターリハビリテーション科
2大阪府立身体障害者福祉センター整形外科
3大阪府立身体障害者福祉センター機能訓練課
1Department of Physical Medicine & Rehabilitation, Osaka Prefectural Rehabilitation Center.
2Department of Orthopedic Surgery, Osaka Prefectural Rehabilitation Center.
3Faculty of Physical Training, Osaka Prefectural Rehabilitation Center.
pp.675-682
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103603
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
脳性麻痺の治療やリハビリテーションは,従来より幼小児に主な関心が偏っており1),したがって成人脳性麻痺者や高齢の脳性麻痺者に関する論述はあまり多くない.一方,リハビリテーションの現場ではこれまで幼小児期あるいは青壮年期の問題であると考えられてきた障害にも加齢が新たな問題として付け加わったため,少なからぬ混乱が生じている.
脳性麻痺者の場合,中高年にいたって生じる問題点として,臨床面からは変形性関節症や頸椎症性頸髄症による機能障害がしばしば指摘される.これらの疾患は言うまでも無く脳性麻痺に特異的に合併するわけではないが,もともと身体機能の予備力が低い個人に発現するとdisabilityを助長するであろうことは想像に難くない.また,アテトーゼ型の脳性麻痺者に頸椎症性変化が健常群よりも若年のうちから高頻度に出現する2)ことが明らかにされており,この早期の加齢現象が脳性麻痺者の社会生活の質を蓍しく低下させている.
今回,これまでに経験した症例の検討と文献上の総説を行ない,脳性麻痺者の自然経過とそれから生じる問題点および対策を考察してみる.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.