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特集 脳性麻痺(成人を中心として)
脳性麻痺と老化―運動障害の加齢に伴う変化
Aging in Cerebral Palsy
安藤 徳彦
1
Norihiko ANDO
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター
1Kanagawa Rehabilitation Center.
pp.307-310
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102145
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はじめに
周知のごとく脳性麻痺とは,発育途上の脳が,種々の原因によって,非進行性の病変を来たし,永続的な中枢性運動障害を起こした状態をいうとされている.病変が非進行性であるということは脳性麻痺の大きな特徴であり,これが他の疾患との重大な鑑別点となっている.しかし脳性麻痺の病変は不変であっても,障害程度も不変であろうか.かつて脳性麻痺成人の医学的諸問題を取り上げた論文は極めて少なく,加齢に伴って能力障害の程度がどのような状態になるかはほとんど知られていないのが実情である.
一方,老化の特徴とされているものをあげてみると,(1)時間に依存する変化であること(時間依存性).(2)すべての細胞,組織,器官,個体にわたって普遍的にみられる現象であること(普遍性).(3)生体の内的因子によって引き起こされること(内在性).(4)生体機能の減衰に伴って死の確率を高めるものであること(有害性)だということができる1).この観点に立てば,脳性麻痺の老化現象を述べるためには,身体のすべての諸器官,組織を論ずる必要がある.しかしながら,中枢性運動障害が主体となるこの疾患にあっては,運動障害の能力についてまず取り上げるべきであろうと思う.
以下に脳性麻痺成人の加齢に伴う運動能力の変化を知る目的で,40歳以上の成人脳性麻痺について,当リハビリ病院に入院した人々の状況を報告し,さらに重度身障者施設さがみ緑風園に入所中の人々の運動能力の変化について紹介する.
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