入門講座 理学療法における接遇とコミュニケーション・3
学生・新人指導に関連する接遇・コミュニケーションスキル
斉藤 秀之
1
,
飯島 弥生
1
Hideyuki Saito
1
1筑波記念病院リハビリテーション部
pp.597-603
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102013
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理学療法は「ヒューマン・サービス組織」が提供するサービスに位置づけられる.病院などの医療や保健,福祉などの組織が提供する対人サービスと交通や金融などのサービス産業が組織として行うサービスとは明らかに区別される.ある特定の個人を対象にサービスが提供され,サービスの受け手が不特定多数の集団ではなく,サービスの送り手が受け手の1人ひとりに関心を集中させなければならない点で区別される.サービスが良くなければ受け手の生存を脅かし,不幸に追いやることもある.だからこそ,その関係は1対1が望ましいとされ,かゆいところに手が届くようなサービスが理想となる.このようなサービスを提供する病院に代表される組織がヒューマン・サービス組織である.
病院は患者に対して,医療サービスを施す.そして,これらサービスの送り手と受け手の間には均衡が成り立つことが難しく,不等号で結ばれるような関係である.つまり,例えばサービス資源を独占できる送り手は強い立場に立つことができうる.他方,患者など受け手は,依存せざるを得ない弱い立場におかれやすい.このような,端的にいえば,強者と弱者の関係にサービスのための場所を提供しているのがヒューマン・サービス組織である.
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