講座 炎症と理学療法・3
侵襲に対する生体反応―SIRS(サーズ)について
松嵜 志穂里
1
,
山口 芳裕
1
Shiori Matsuzaki
1
1杏林大学医学部救急医学教室
pp.589-595
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102011
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SIRS(全身性炎症反応症候群)の定義
通常の病原微生物由来の物質による刺激以外にも,非感染性侵襲によって産生された組織損傷やトロンビン形成,アノキシアなども全身性の炎症の原因となる.これには炎症性サイトカインをはじめとした種々のメディエーターが関与し,原因によらず,似たような非特異的全身性炎症が引き起こされる.
1991年8月,米国胸部医会(ACCP:American College of Chest Physicians)と米国集中治療医学会(SCCM:Society of Critical Care Medicine)の合同委員会は敗血症に関連する疾患・病態の定義を明確化することで,その病態解明や新たに開発された薬剤の臨床試験を促進する目的で,全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の概念を提唱した1).表1の2項目以上を満たした場合がSIRS,sepsisは「感染が原因で生じるSIRS」と定義された(図).
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