- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
最近は医療の現場にもサービスという概念が定着し始め,従来の関係から患者さんを顧客として考えるようになってきている.その最たるものが,“患者さま”という呼び方である.いつの間にか,この“患者さま”という呼び方は定着し,多くの病院で取り入れられるようになってきた.筆者自身はこの“患者さま”という呼び方には違和感がある.そこまでわれわれ医療従事者がへりくだる必要があるのだろうか? 筆者自身は“患者さん”くらいでよいのではないかと思っている.また,“患者さま”という呼び方には,“患者=収益”という気持ちが見え隠れするのではないだろうか? いくら言葉遣いが丁寧でも,患者さんを本当に丁寧に扱っているのであろうか? 重要なことは呼び方ではなく,われわれの日頃の接し方であろう.
医療の景気がよかった一昔前までは,確かにわれわれ医療関係者の患者さんに対する接し方はややもすれば横柄であったかもしれない.今では逆にクレームを恐れるがあまり,へりくだり,慇懃無礼な態度になってしまった.それがモンスターペイシェントの出現にもつながっていると思うのは筆者の思い過ごしであろうか?
どこの世界でも大切なことは“目線”を合わせることである.地位や立場に関係なく平行な目線をもつことが相手を敬い,また,相手から信頼感を得る方法であろう.相手を下に見ることで威圧的になったり,相手を上に見ることで卑屈になったりすることは容易に経験することだろう.そして,患者接遇において最も大切なことは,医療従事者としての自信と誇りをもって患者さんに接することではないかと思う.われわれはよい医療を提供することが使命で,患者さんも愛想はよいが知識や技術が劣った医療従事者を欲しているわけはない.患者接遇を優先するあまり,自らの医療知識や技術の研鑽が滞るようでは本末転倒である.
本稿では社団法人日本超音波医学会に設置されている「検査業務の安全管理のためのワーキンググループ」で行ったアンケートの結果などを踏まえて患者接遇について考えていきたい.
このアンケートは日本超音波医学会の研修施設430施設に送付し,その52%の222施設から回答を得ている1).
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.