臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・4
関節リウマチ
山際 清貴
1
Kiyotaka Yamagiwa
1
1専門学校東都リハビリテーション学院
pp.605-610
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102014
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ステップ1.はじめに―この症例から何を学ぶか
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は関節を構成している滑膜が炎症を来し,それが増殖することによって関節の痛みや腫れを起こす原因不明の自己免疫疾患である.炎症がひどくなると,骨や軟骨が破壊されて変形を起こす.また,関節の症状だけではなく,発熱,朝のこわばり,全身の倦怠感,易疲労性,体重減少,貧血,リンパ節の腫大なども起こす可能性がある.男女比は1:3~4と女性に多く,30~50歳代に多くみられるが,あらゆる年齢層に発症する可能性がある.わが国の患者数は約60万人と推定されている1).
RA患者を担当する際の理学療法士の主な役割は,筋力の維持・増強や関節可動域(ROM)の維持・拡大などに力を尽くし,日常生活活動(ADL)能力や生活の質(QOL)を向上させることにある.また,徒手的な手段に限らず,物理療法(特に温熱療法)を用いた関節痛の緩和,自主トレーニングや関節保護法の指導,自助具や家屋改修のアドバイスなども必要な知識であり能力である.このように,RA患者を担当する際には多岐にわたる知識を有していなければならないが,まずは心構えとしてRA患者が関節痛や関節変形などの様々な障害を有しながらどのようにADLを行っているのか,また,私たちにどのような働きかけを求めているのか,さらには私たちに何ができるのかについて理解を深めようとする姿勢が肝要である.
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