連載 病院のことばとコミュニケーション――ポライトネス・ストラテジーの視点から・1【新連載】
医療コミュニケーションの研究はなぜ必要なのでしょうか?―私たちは接遇研修にはないものを求めています
早野 恵子
1
,
吉岡 泰夫
2
1済生会熊本病院総合診療科
2国立国語研究所研究開発部門
pp.44-47
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101397
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連載のはじめに
近年,患者中心の医療,患者参加型医療の実践が求められ,患者・家族と医療者が,ラポール(共感を伴う心の交流)にもとづく信頼関係や,闘病の同志(医療チーム)といえる協力関係を築くこと,また,両者の情報共有による合意の形成,患者参加型の意思決定が重視されるようになりました。これらの目標は,患者・家族と医療者のコミュニケーションに関する問題を解明し,問題解決のためにコミュニケーションの適切化を図ることによって達成可能です。安全で信頼される,患者満足度の高い医療を実践するためにも,医療コミュニケーションの適切化は重要な課題です。
患者・家族と医療者の間,および医療者同士のコミュニケーションを適切化する方略を探索するために,私たち医学・言語学連携研究グループは,5年前に日本学術振興会科研費による研究を開始しました。そして今回,これまでの患者-医師間コミュニケーションを主とした研究成果に加えて,看護師の皆さんたちが直面している問題について探究するために,座談会やフォーカスグループインタビューなどの新たな試みを加えて,連載を開始することになりました(表1)。どうぞご期待ください。
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