交見室
接遇マナーが風化していませんか?
勝岡 洋治
1
1大和つきみの腎クリニック
pp.758-759
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207658
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先日,某メーカーから届けられた小冊子に,接遇教育に熱心に取り組んでいる医師の紹介記事が目に留まった.接遇マナーに関しては,筆者が主催した第95回日本泌尿器科学会総会(2007年4月)で会長特別企画として取り上げている.当時,接遇への関心が高く,医療者側に医療を消費者(顧客)の視点で捉えようとする意識改革が徐々に芽生えてきており,特別企画では,医療人と患者の間の双方向性のコミュニケーションと医療におけるケアマインドの大切さが議論された.具体的施策としては,患者サービス向上委員会の立ち上げ,接遇マニュアルの作成,意見箱の設置,朝の挨拶運動,患者満足度調査の実施,医師の接遇アンケート調査などが提案された.
接遇マナーは,人と人をつなぎ,思いやりの心を伝える必要な技術であり,医療機関における接遇マナーの実践は,患者と医療者が良好な関係を築くうえで欠かせないものである.接遇マナーの重要性は以前より指摘され,多くの施設で接遇教育が盛んに行われてきているが,継続的で意識的に取り組まなければ風化するといわれている.昨今の状況をみると,「○○様」との呼称だけが独り歩きしているように思われる.
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