入門講座 薬と理学療法・4
鎮痛薬・抗リウマチ薬・筋弛緩薬と理学療法
吉岡 充弘
1
Mitsuhiro Yoshioka
1
1北海道大学大学院医学研究科神経薬理学分野
pp.913-920
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101785
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はじめに
痛みの管理は医学・医療における最も大きな問題の1つである.痛み,なかでも疼痛には不快の情動が付加され,様々な二次的な影響を身体に及ぼす.疼痛は,末梢および中枢神経系における複雑な過程により生じ,それが主観的であるがゆえ,個々の患者自身の痛みの説明に耳を傾けなければならない.鎮痛薬はこのような痛みという一般的症状を緩和させるために用いられるが,適応は急性・慢性を問わず多疾患にわたるため,使用法や副作用に精通していなくてはならない.臨床の場面においても,理学療法の中核をなす運動療法,物理療法,動作練習における鎮痛薬や筋弛緩薬の使用にはよく遭遇する.
本稿では,鎮痛薬として最も高い頻度で使用される非ステロイド性抗炎症薬を中心に取り上げた(表1)1).また,抗炎症作用はないが鎮痛作用を有するアセトアミノフェンや比較的使用しやすい非麻薬性鎮痛薬に触れ,さらに,理学療法領域で遭遇する「痛み」の対策として不可欠の抗リウマチ薬についても概説を加えた.抗リウマチ薬は炎症兆候を抑えるのみならず,結果的には症状(痛みを含む)を抑制することにつながる.
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