徹底分析シリーズ ロクロニウム
ロクロニウムを知るための筋弛緩薬の基礎知識
矢島 直
1
Choku YAJIMA
1
1刈羽郡総合病院 麻酔科・ペインクリニック科
pp.2-9
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100003
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神経筋接合部にあるアセチルコリン受容体の立体構造は,2003年に明らかになった。一次構造は約500個のアミノ酸が並んだ1本のポリペプチドだが,アセチルコリン結合部は2枚のβシートからなり,イオンチャネル部は細胞膜を貫通する4本のα-ヘリックスからなっている。これが一つのサブユニットを構成し,五つのサブユニットが水素結合などで寄り集まって受容体ができている。リガンドと結合することによりβシートのコンホーメーションが変化し,これが1本のα-ヘリックスを回転させることによってチャネルが開く。
クラーレ以来,50種におよぶ筋弛緩薬が開発され,副作用および使い勝手の悪さによって消えていった。パンクロニウム,ベクロニウム,ロクロニウムは淘汰に残った数少ない筋弛緩薬である。
筋弛緩モニターとして現在広く使用されている四連刺激法は1970年にリバプールにいたAliらによって開発され,ダブルバースト刺激法はデンマークのViby-Mogensenらによって1985年に開発された。筋弛緩薬に対する反応は個体差が大きいので,適切な筋弛緩を維持するためには,モニターすることを勧める。
本稿では,アセチルコリン受容体の立体構造,筋弛緩薬の総論,筋弛緩モニターについて解説する。
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