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編集後記
金谷 さとみ
pp.1028
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101536
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政権交代から間もないが,これからの医療・介護に関する制度は,また変わるのであろうか.介護保険制度の施行以後,リハビリテーションに関するものだけでも目まぐるしく変化し,そのたびに現場は振り回された感があり,机上で生まれた政策転換はほどほどにしてほしいと思うことがある.
先日,近所の中華料理店に昼食を食べに行くと,50人ほどの席のほとんどを高齢者が占めていた.どうやら近所の老人会の方々らしい.隅の空いた席につき,高齢者の表情を見ながら昼食をとることにした.見た限りでは後期高齢者のようで,食事中はずっと同席の人と会話し,時には大きな笑い声,店は今までになくにぎやかだった.こちらに食事が届く頃には,皆一斉に店を出て,またいつもの静けさが戻った.自分の両親もそうであるが,高齢者はこのような「人との交流」を通し,そこにささやかな楽しみを見出して日々を送っている.また,いずれ近い時期に死を迎えることをよく知っており,家族に恵まれていても,一人暮らしであっても,誰もが孤独を感じているはずである.30年後の自分は,地域の人とあのように明るく付き合うことができるのであろうか….若干不安になって中華料理店をあとにした.
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