とびら
環境と身体をつなぐ鍵
上西 啓裕
1
1和歌山県立医科大学附属病院
pp.801
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100570
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ここ十年,われわれを取り巻く様々なパラダイムが変化し,その変化は加速し続けているように感じる.分野を越えた概念と方法論の融合が活発化し,身体・環境・知覚や感覚といった言葉を異分野の方からよく耳にする.そのなかで興味を引かれ,臨床に取り入れていこうと実践している生態心理学について少し紹介してみたいと思う.
「動物は自分を取り巻く環境なくしてとうてい存在し得ない.たとえそれほどはっきりはしていないにせよ,全く同様に,環境はそこに生活する動物を包含している.このことは生命がまだ地球上に現れなかった数百万年以前には,実際のところ地表は環境とはいえなかったことを意味している.」生態心理学者ジェームズ・ギブソンは著書The ecological approach to visual perceptionの中でこう述べている.すべての生物は環境に適応し,その環境の中で生きている,生かされている.
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