第5病棟の彼と彼女たち・7
鍵(2)
前浜 政子
1
1国立療養所長島愛生園精神科病棟
pp.866-869
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917957
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連ちゃんは以前のようにスキをうかがって脱出することが困難になった.すると連ちゃんの無言の抵抗が始まったのである.第1にふくれ顔をする日が多くなって白目を出して上目づかいをする.そしてくるくる働かなくなった.無言のほお笑みも少なくなった.第2に最も危険な高い窓から飛び降りて脱出し,しかも早朝から夕方まで飲まず食わずの放浪をして,体重も減少してきた.健康管理上も心配な事態になった.
勤務者からは連ちゃんの良さが失われてゆくと声があがってきた.第1第2のいずれにしても,私は連ちゃん対策を真剣に考えなければならなくなった.
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