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厚生労働省は2004年1月に取りまとめた「高齢者リハビリテーション研究会」の報告書『これからの高齢者リハビリテーションのあり方』において,高齢者を中心にしたとはいえ,今後のわが国のリハビリテーション(以下,リハ)の方向性について一定の見解を示した(図1).具体的な活動としては予防的・治療的・介護的活動の三つに分類されている.予防的活動としては老人保健事業,介護予防事業,健康増進法による諸活動があげられ,治療的活動としては医療保険による急性期・回復期リハ,それに継続的に実施される介護的活動としての維持期・終末期リハの重要性が強調されている.一方で同報告書では対象者のモデルとしてこれまでの急性発症する脳卒中モデルに加えて,廃用症候群モデル,痴呆モデルが提示され,急性発症し後遺障害を呈する疾患や,高齢者に頻発し生活障害に直結する廃用症候群については,医療機関において適切な急性期・回復期リハの必要性が示された.2000年に制度化された「回復期リハビリテーション病棟」はこのような一連のリハ医療の流れの中で,介護保険の適切な運用も視野に入れながら中核的な役割を担う医療システムとして期待されているといえる.
平成14年度診療報酬改定の要点
2002年(平成14年)4月の診療報酬改定は,リハ医療従事者にとってまさしく青天の霹靂といった感をぬぐいきれない.とりわけ,これまで診療報酬の改定のたびに幅の大小はあれ右肩上がりの点数設定の増加に甘んじていた理学療法士(以下PT),作業療法士(以下OT)にとって思いもかけない改定内容であったといえる.実質的な診療報酬の引き下げといった事態に,現場では少なからず戸惑いと混乱に一時期支配された.
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