特集 歩行練習
パーキンソン病患者の歩行練習に対する基本戦略
桐山 希一
1
,
武田 真帆
2
,
中村 孝志
2
Kiriyama Kiichi
1
1帝京科学大学新学部設置準備室
2札幌山の上病院リハビリテーション部
pp.629-633
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100366
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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease;以下,PD)の歩行障害には,特徴的な症状としてすくみ足や小刻み歩行,突進現象が挙げられる.PD患者へのリハビリテーションでは,歩行能力や日常生活動作の改善に対して効果が示されている1).とくに小刻み歩行に対しては外的なリズム刺激が歩幅の拡大に有効であることが知られている.
PDに特異的な四大徴候である筋固縮,振戦,寡動,そして姿勢反射障害に着目すると,それらの現れ方や相互関係は患者によって異なっている.注意・判断といった高次脳機能障害,あるいはうつ症状や抗パーキンソン病薬の副作用である幻覚・幻視などの精神症状もPDのリハビリテーションでは問題となりやすい.さらに,起立性低血圧に代表される自律神経系機能の障害や前屈姿勢および呼吸筋の固縮により,呼吸・循環障害も併発しやすい.したがって,運動療法の効果を最大とするためには,個別の病態を踏まえた上で治療プログラムを作成する必要がある.
本稿では,臨床におけるPDの治療場面から,とくに歩行障害に対して理学療法を実施する上で考慮すべき点をまとめた.
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