増刊号 誰でもわかる遺伝子検査
Ⅱ.各論—遺伝子検査はどういうときに必要なのか
3.応用編—遺伝子検査を利用する
3)遺伝性疾患
(1)先天代謝異常症
坂本 修
1
,
松原 洋一
2
1東北大学大学院医学系研究科小児医学講座小児病態学分野
2東北大学大学院医学系研究科小児医学講座遺伝病学分野
pp.1095-1097
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906368
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はじめに
1908年英国のGarrodはシスチン尿症,白皮症,五炭糖尿症,アルカプトン尿症の4疾患を例に挙げ,糖や蛋白質の代謝経路の中間に存在するはずの物質が尿中に大量に排泄されていること,Mendelの遺伝形式に従うことを明らかにした.Garrodはこれらの病的状態が生体内のある特定の代謝過程の先天的欠損によるという考えを提唱し,先天代謝異常(inborn errors of metabolism)の概念を確立した.現在,遺伝子異常により代謝系が障害される酵素異常,膜転送異常,受容体異常などが先天代謝異常症と分類されている.
歴史的に先天代謝異常症の診断は異常蓄積物質(アミノ酸,有機酸,ムコ多糖,糖脂質など)を検出する生化学的診断から始まり,測定法・測定機器の発達とともに飛躍的に診断される疾患が増えてきた.現在アミノ酸の検出は自動アミノ酸分析計が,有機酸分析ではガスクロマトグラフィー(gass chromatography)/質量分析計(mass spectrometer)(GC/MS)が力を発揮しており,これらの診断法で相当数の先天代謝異常症の診断が可能である.
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