特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
9) 先天代謝異常
坂本 修
1
Osamu SAKAMOTO
1
1東北大学大学院医学系研究科発生・発達医学講座小児病態学分野
キーワード:
糖原病Ia型
,
シトリン欠損症
,
テイ・サックス病
Keyword:
糖原病Ia型
,
シトリン欠損症
,
テイ・サックス病
pp.1449-1452
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101436
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概念・診断法の変遷
1908年英国のGarrodはシスチン尿症,白皮症,五炭糖尿症,アルカプトン尿症の4疾患を例に挙げ,これらがMendelの遺伝形式に従い,生体内の代謝過程の1か所の先天的欠損に基づくと考えられることを指摘した.これをもって初めて先天代謝異常の概念が提唱されたと考えられている.現在,遺伝子異常により代謝系が障害される酵素異常,膜転送異常,受容体異常などを含め先天代謝異常症と分類されている.
先天代謝異常症の診断は異常蓄積物質(アミノ酸,有機酸,ムコ多糖,糖脂質など)を検出する生化学的診断から始まり,測定法・測定機器の発展とともに飛躍的に診断される疾患が増えてきた.現在アミノ酸の検出では自動アミノ酸分析計が,有機酸分析ではガスクロマトグラフィー/質量分析計(gas chromatography;GC/mass spectrometry;MS)が力を発揮しており,諸外国ではアミノ酸およびアシルカルニチンを一緒に検出できるタンデム質量分析計(タンデムマス)が新生児スクリーニング検査に導入されている(わが国ではパイロットスタディの段階).その後,先天代謝異常症の診断に酵素学的診断法が導入され,さらに近年の分子遺伝学的進歩により遺伝子変異そのものの検索へと展開していった.
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