技術講座 生化学
アミラーゼアイソザイムの測定法
大川 二朗
1
1兵庫県立病院がんセンター検査部
pp.227-232
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202710
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アミラーゼアイソエンザイムには,唾液腺型(以下S型)アミラーゼと膵型(以下P型)アミラーゼがあり,分子量・電荷ともによく類似しているので,長時間の電気泳動で血清アミラーゼのS型,P型はやっとpreγとfastγ位に分離される.発生学的にはS型アミラーゼがはやく出現し,新生児はS型アミラーゼ優位でP型アミラーゼは生後5か月で成人のレベルに近づく.また肺癌や卵巣癌でもS型アミラーゼが産生され,腫瘍産生アミラーゼと正常S型アミラーゼの差異はザイモグラムのうえでは認められていない.免疫学的方法によってはPとS型アイソザイムは識別できないが,小麦由来アミラーゼインヒビターはS型アミラーゼをより強く阻害し,またオリゴサッカライド基質に対する作用様式は二つのアイソザイムで若干異なっている.表1に二つのアイソザイムの性状を比較しまとめてみた1).
ここでは日常検査で迅速,簡便に行える二つの方法―電気泳動法とインヒビター法―について技術的解説を行う.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.