今月の主題 膵疾患診療のトピックス
生化学的診断法
アミラーゼ・アイソザイム—その解釈
小川 道雄
1
Michio Ogawa
1
1大阪大学医学部・第2外科
pp.566-568
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218219
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アイソザイムとは同じ反応を触媒する酵素のうち,蛋白としての質を異にし,物理化学的性状に相異のある酵素群をさす.ヒトの場合,血中のアミラーゼは主に膵臓と唾液腺に由来し,別の遺伝子支配をうけた酵素であり,この2つのアミラーゼはアイソザイムである1).唾液腺アミラーゼと性状のよく似たアミラーゼは,ほかに卵管,肺,その他の臓器にも存在する.これらは唾液腺型アミラーゼと呼ばれ,膵型アミラーゼと区別されている.
従来,血中アミラーゼの測定は,これら臓器に由来する酵素活性の総和としてとらえられてきた.しかも急性膵炎の予後が不良であったことから,血中アミラーゼ活性の上昇はただちに急性膵炎に結びつけられ,治療が行われてきた.アイソザイムの分析が行われ,その由来臓器を知ることができるようになってから,血中のアミラーゼの上昇を来たす疾患は多岐にわたっていることが明らかになり,総活性の測定のみではほとんど意味がないことがわかってきた.今日では,アミラーゼ測定結果はアイソザイム分析なしには評価しえない.
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