特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
酵素および関連物質
アミラーゼとそのアイソザイム
大槻 眞
1
1産業医科大学消化器・代謝内科
pp.209-211
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101778
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
1. 膵・唾液腺から血中への病的逸脱
膵管・総胆管・Vater 乳頭部の閉塞による膵液うっ滞や,膵実質の炎症・破壊が生じるとアミラーゼが血中に逸脱して,血清および尿中のアミラーゼ値は上昇する.膵実質の荒廃や広範切除など膵残存機能が低下すると,膵由来のアミラーゼ(P型アミラーゼ)は減少するが,唾液腺由来のアミラーゼ(S型アミラーゼ)が存在することから,血清総アミラーゼ活性が著明に低下することはない.耳下腺炎,耳下腺膿瘍,唾石などによる唾液分泌障害があると,唾液腺由来のアミラーゼの血中逸脱が起こり,血清アミラーゼが上昇する.
2. 腎からの排泄低下と血中停滞
血清アミラーゼの約1/3は腎糸球体を通過して尿中に排泄される.腎機能が正常の場合には,血清アミラーゼと尿中へのアミラーゼ排泄量は相関するが,腎不全では尿中へのアミラーゼ排泄が低下し,血清アミラーゼが増加する.血清中のアミラーゼの一部が免疫グロブリンや多糖体と結合したマクロアミラーゼは,腎糸球体を通過できないことから尿中に排泄されないので,尿中アミラーゼは低値となり,血清アミラーゼは持続的高値を示す.
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