特集 ホルモンと生理活性物質
各論
7.副腎髄質ホルモン系
4)ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ
石村 泰子
1
,
大内 武
2
,
岡 源郎
1
Yasuko ISHIMURA
1
,
Takeshi OHUCHI
2
,
Motoo OKA
1
1徳島大学医学部薬理学教室
2徳島大学医療技術短期大学部
pp.154-155
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902207
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- 文献概要
生合成・分泌・機能
ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(dopamineβ-hydroxylase; DBH)は,ドーパミンをノルアドレナリン(NA)に変換させる酵素である.生体内では副腎髄質,交感神経終末,中枢神経系の一部などNA,アドレナリン(A)を含有する組織に存在し,ほかには認められない.1960年Levinらにより副腎から高度に精製され,その酵素の性状が明らかになってきた.これら組織の細胞内では,ほとんどがカテコールアミン(CA)含有顆粒内(クロマフィン顆粒)に局在する.この顆粒内のDBHには,膜と結合しているmembrane bound DBH(m-DBH)と顆粒内容物として可溶性の状態で存在するsoluble DBH(s-DBH)の2型がある.
このうちs-DBHはCAが開口分泌機序(エキソサイトーシス)により細胞外に分泌される際の随伴蛋白として,クロモグラニン,ATPなどの可溶性内容物とともに放出され血中に出現する.CAとs-DBHの分泌相関はほほ一致している.m-DBHとs-DBH両者の特性はほとんど同じであるが,s-DBHの方が活性が高い.このことは膜構成成分となったDBH蛋白は酵素活性が抑制されている状態にあることを示唆している.
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