特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅳ.代謝的に作用する薬物
ドーパミンヒドロキシラーゼ
小島 幸一
1
,
永津 俊治
2
Koichi Kojima
1
,
Toshiharu Nagatsu
2
1食品薬品安全センター秦野研究所生化学室
2藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
pp.488-489
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901646
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ドーパミンヒドロキシラーゼ(ドーパミンβ水酸化酵素,DBH)は,ノルアドレナリン神経(中枢と末梢交感神経)や副腎髄質細胞のシナプス小胞やクロマフィン顆粒に局在し,ドーパミンの側鎖β炭素を水酸化してノルアドレナリンを生成する銅含有モノオキシゲナーゼである。本酵素の発見当時から,酵素阻害剤によってノルアドレナリンの生成を生体内で阻害して,本態性高血圧症の薬剤を開発しようという研究が続き,多数の阻害剤が報告されている1)。
歴史的にみて最初に研究された阻害剤は,基質類似体のベンジルオキシアミンやベンジルヒドラジンである2)。ついで,DBHが銅酵素であることが解明され,ジエチルジチオカルバミン酸3)のような銅のキレート剤が研究された。抗アルコール中毒剤のジスルフィラムは生体内でジエチルジチオカルバミン酸に還元されて,本酵素を阻害することがわかり4),当初考えられたアルデヒド脱水素酵素の阻害とともに,DBHの阻害が抗アルコール中毒作用の機構と考えられている。
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