特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅲ.トランスミッターの放出・取り込みに作用する薬物
ドーパミン
島添 隆雄
1
,
渡辺 繁紀
1
Takao Shimazoe
1
,
Shigenori Watanabe
1
1九州大学薬学部薬理学教室
pp.460-463
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901638
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ドーパミンは1959年のHoltzの報告を端緒として研究が進展し,脳内神経伝達物質の一つであることが証明された。ドーパミン神経系は大きく以下の三つの系統に分けられる。黒質―線条体系は黒質(A9),中脳網様体(A8),腹側被蓋野(A10)から線条体への投射系で,錐体外路系における運動機能に中心的役割を果たす。中脳一辺縁系は黒質(A9),中脳網様体(A8),腹側被蓋野(A10)から辺縁系皮質および辺縁系への投射系で,精神分裂病などの精神疾患との関わりが深いと考えられている。もう一つが漏斗―下垂体系で間脳(A11-A15)から下垂体間葉,正中隆起などへの投射系で,ホルモン分泌の調節機能を有している。
ドーパミンの放出には,活動電位に基づくCa2+依存性のものとCa2+非依存性,Na+依存性でドーパミントランスポーターの逆回転によるものとが考えられている。放出されたドーパミンは,一部は分解酵素[モノアミンオキシダーゼ(MAO),カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)]による代謝を受け不活化されるが,大部分はドーパミントランポーターによって再び神経終末に取り込まれる。
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