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あとがき
山田 俊幸
pp.834
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200403
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総合診療医が,ある症例の診断に至るプロセスを,研修医を指導しながら披露するテレビ番組をご存じでしょうか.先日,勤務している大学の卒業生で,この番組の常連でもあるH医師が,飛行機のなかで遭遇した2つの事例を取り上げた回を観ました.どちらも呼吸困難が主訴で,結論をいいますと,過換気(過呼吸)症候群と緊張性気胸(胸膜が破れて空気が入り,肺を圧迫する病気)でした.前者は予想が当たり,家族に自慢しましたが,実はほめられたものではありません.多くの鑑別すべき重要疾患を否定してたどり着くものなのに最初からそれしか疑えなかったからです.それはともかく,航空機のなかという医療器材が不十分な状況で気胸の診断に至り,応急措置までやってのけたH医師の腕前にはただただ感服するのみで,若い人は憧れるだろうなと思いました.
ただ,自分の専門から思ったのは,簡単な検査機器があったらな,ということで,例えばハンディエコーなどがあってもよいかもしれないし,ハンディタイプの血液検査機器があったらどうでしょう? 取り上げられた事例においても,血液ガスのデータや,急性心筋梗塞や肺塞栓血栓症を鑑別する検査データがあれば役にたつかもしれません.番組のコンセプトは,問診と基本診察だけでどこまで迫れるか,ですが,このような状況においても基本検査所見が使えればよいと思います.誰がやるかが当面の問題になりますが,客室乗務員に特別にトレーニングしてもらってもよいかもしれません.街角での検査よりこちらの特例のほうが重要だと思います.
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