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あとがき
伊藤 喜久
pp.928
発行日 2012年8月15日
Published Date 2012/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103123
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今月の主題は,現代医療における重要課題の一つ多剤耐性菌です.検査システムの道筋は確立されており,MSによる迅速感受性試験など新しい自動検査法も取り入れながら,これからも早期の特異的な診断,予防,フォローの進展が期待されます.これらをサポートする国際的な報告基準の標準化,用語の定義などの周辺整備が待たれます.問題は治療で,今や世界中で臨床上criticalな多くの菌種が多剤耐性となり,有効な抗菌薬が枯渇し深刻な状況が続いています.
随分以前の話ですがMRSAのアウトブレイクがあり,パルスフィールド電気泳動法で解析したところ,コントロールとして用いた6年前の保存株が起炎菌とまったく同一パターンを示し,本当に驚きました.全国各地の医療施設のどこかで毎日新たな抗菌クローンが誘導され医療環境に潜み,常在細菌叢を形成しながら保持され,日和見感染を引き起こし,地域から国,あるいは世界へと広がっている一端がうかがえました.
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