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あとがき
伊藤 喜久
pp.1094
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102404
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医者になりたての頃,指導医の先生には“糖尿病を学べば医学・医療のすべてが学べる”と励まされ,Ⅱ型糖尿病の腎症,高血圧,脳血管障害,脂質代謝異常,易感染性,末梢神経炎,ASO,それに“頸椎症”をも合併したケースを報告した思い出があります.多彩な症候を一元的にどう結びつけまとめるのか,苦労したものです.
近年,ゲノムシーケンシング解析技術が飛躍的に進歩し,数多くの糖尿病関連遺伝子が特定されて,糖尿病の発症予測,予知,予防への道がさらに広がってきました.Ⅱ型糖尿病は,複数の疾患感受性遺伝子と環境因子の相互作用によって発症することがより明確になりました.白血球機能不全1つをとっても,遊走,貪食,殺菌の機序が分子レベルで解明が進み,質の高い個別医療が目指され,糖尿病研究が引き続き牽引車となり続けることでしょう.
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