--------------------
あとがき
伊藤 喜久
pp.1302
発行日 2012年10月30日
Published Date 2012/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103246
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
あとがき
世界の中で日本の臨床検査は独自の位置づけにあります.米国のclinical pathologyから検体検査部門を切り離し,さらに中央検査室の中から生理機能検査を加え,実践医療の現場から臨床研究,教育,医療サービスを発展させてきました.多くのすぐれた臨床検査技師の輩出は現在の興隆の中心をなすものです.多くの大学に臨床検査医学講座,保健学科が設置され,全国に検査技師養成専門学校が開かれているのも他国に類をみません.明治以来の欧州の学術を継承して病態解明が推進され,独創性の高い研究が発表され高く評価されています.なかなかみえにくい部分ですが,薬学,工学などの領域は,学術研究,さらに企業の製品を通じて検査のコアな部分を支えています.このようにあらゆる領域からの新しい追い風を受け,独自の体系を維持しながら,病態生理(基礎)と検査・測定・分析(応用)の2本柱が厚い層を成す,これが日本の臨床検査を特徴づけています.
これまで雑誌「臨床検査」は,病態生理というプローブで医学,医療全体を探索し,近未来の新たな創造への道筋に光を当て続けてきました.発見,発明,応用展開とこれらを生み出す智,創意工夫の魅力もお伝えしてきました.これからもこの理念は本誌の底流をなすものですが,さらに実践応用にも対象を広げreaders'-oriented reviewの視点から,読者のみなさんの関心が今どこにフォーカスされ,何をどのように学び,どこまでoutcomeを望まれているかを考えながら,新たな時代のニーズに応じた研究,教育専門誌の果たす役割の可能性を求め始めています.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.