--------------------
あとがき
伊藤 喜久
pp.106
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103330
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
ノーベル賞受賞,文化勲章受章おめでとうございます.山中伸弥教授の医学の歴史を変える快挙に,そして人類の幸福を求め真理を追究してやまない先生の真摯な姿勢に,日本全体が勇気と力を与えられ,明るい光で包まれています.“ヒトはヒト自身を試験管内で決して創れない”,このように誰もが無限の彼方の世界と認識していたかもしれません.iPS細胞の作製成功により,この考えが覆されようとしています.
われわれが抱く夢は初期化された自らの細胞により,自らの治癒,回復が目指される,最も自然なテイラーメイド医療の実現です.どうも臨床応用が予想を超えた速さで実現しそうな勢いです.しかし,自己の細胞の移植によっても,予期せぬ副作用が生じるかもしれません.幾重にも生命の安全の保障が求められます.技術的に簡単に作製できるものとされていますが,万が一にも新たな種を生み取り返しのつかない事態に陥らないよう,科学の進歩に呼応し,監視と規制も含め対応に取り組んでいかなければなりません.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.