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あとがき
H
pp.584
発行日 1958年8月1日
Published Date 1958/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200704
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日本では大病院といつてもせいぜい1,000ベツトぐらいだが,外国では,これにくらべるとけたはずれに多くのベツトを持つた病院がある。フランスに4,000ベツトを越える病院があるなどがそれである。病院としては,いたずらに尨大なベツトをかかえるよりは,ほど像どのベツトで運営管理をうまくする方が妙味はあるのだろう。
多くのベツトを擁する病院では,当然病院管理についての眼が開いていなければ運営がうまくゆかない。病院管理学が発達するゆえんである。日本における病院管理学は,外国にくらべると随分おくれをとつており,終戦後ようやく軌道に乗つたかの感がある。厚生省の病院管理研修所が国立東一に附設され,また病院管理学の講座が目下東北大と日本大学にあるなどは,この領域の発展を物語るものである。病院管理の專門雑誌つまり院長や事務長の見る雑誌「病院」が終戦後誕生し,3号雑誌を恐れられながらもよろめかずに順調な発展をとげ,押しも押されもせぬ大雑誌にのし上つたことなど,この道の人達にとつては今昔の感にたえないものがあろう。書籍にしても島内武文東北大教授の「病院管理学」や病院管理研修所今村栄一所員の「病院管理の実際」が出てよい売れ行きを示しているという。今年九大で行われた病院学会が1,000名を越える参会者を擁してひどく気勢があがつたというのも,この領域への関心の高まりの証拠と見ることができる。
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