研究
急性期病院に対する是正勧告書から学ぶ病院の労働安全衛生管理と経営課題
三隅 達也
1
1山口大学経済学研究科企業経営専攻(医療・福祉経営コース)
pp.921-928
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211098
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要旨
目的:労働基準監督署が急性期病院へ交付した是正勧告書などから,急性期病院に対する労働安全衛生に関する行政指導の実態を明らかにし,医療従事者の安全と健康確保ならびに健全な病院経営のための提案を行う.
方法:全国に病院を展開するA法人本部およびその全57施設,B法人本部およびその全33施設に交付された是正勧告書などを情報開示請求により入手し,分析した.
結果:労働安全衛生法の違反条項で多いものは100条(報告等),66条(健康診断),18条(衛生委員会)などであった.指導票や安全衛生指導書では,長時間労働防止や安全・衛生委員会,産業医の面接指導など,さまざまなことが指摘されていた.
考察,まとめ:労働者に対する健康診断や産業医の面接指導などを定める労働安全衛生法66条の順守やその実効性確保は,医療従事者の健康確保のために特に重要である.近年,労働基準関連法違反は病院にとって小さくない経営リスクとなるため,法令順守の徹底が重要である.
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