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病院経営と労働攻勢について
永田 信三
pp.405-407
発行日 1960年6月1日
Published Date 1960/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201667
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最近中小企業における労働争議は,漸次激化の様相を呈し,その前途に一大暗影を投じているがこの傾向は医療界にも波及し,早くも私営病院の経営者達は恐慌を来たしておるようである。そもそも今回の中小企業の労働攻勢熾烈化の原因は,永年不況の下積みにされておつた中小企業も,最近景気が好転し,利潤も漸次増大してきたことが従業員に知れ渡たつたことと,一方大企業の労働組合を主軸として組織された総評が,現在のままでは組織に行詰りを生じ,組合活動が限界に達したから,今後の活動分野を中小企業に求め,これがオルグに乗り出したことにあると思われる。従つてその組合運動は総評を背景に,総評の指示を受けて行動するから,その主張は強硬であり,又非妥協的でもあり,その要求も過大に成り勝ちである。
病院もその規模,形態,従業員数の点から言えば,何れも中小企業に属するから,他の中小企業の従業員が活溌なる組合運動を展開することにより,それ相応の戦果を挙げれば,その影響は当然病院従業員にまで及んでくるのを回避することはできない。即ち労組未組織病院は直ちにこれが組織が結成されるであろうし,既組織の病院は陽動に転ずるであろう。
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