Japanese
English
特集 今後の産業精神保健の課題—近年の行政施策の動向をふまえて
労働安全衛生法改正と今後の課題
Future Issues for the Partial Amendment of the Industrial Safety and Health Act
渡辺 洋一郎
1
Yoichiro WATANABE
1
1医療法人渡辺クリニック
1Watanabe Clinic, Ibaraki, Japan
キーワード:
Partial Amendment of the Industrial Safety and Health Act
,
Stress check
,
Occupational mental health
,
Obligations of considering safety
,
Workplace environment
Keyword:
Partial Amendment of the Industrial Safety and Health Act
,
Stress check
,
Occupational mental health
,
Obligations of considering safety
,
Workplace environment
pp.5-14
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204830
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はじめに
2014年6月19日,衆議院にて労働安全衛生法の改正法案が成立した。この改正案により,労働安全衛生法に「心理的な負担の程度を把握するための検査等」という法文が追記された。これがいわゆるストレスチェック法案と呼ばれているものである。この新たな制度は,その趣旨においては意義を認められながらも,さまざまな観点から種々の課題や問題点が指摘されているところである。現在(2014年11月),この制度の実施にむけて,厚生労働省においては行政委員会が設けられ,詳細が議論されているところである。この制度は2015年の12月には,従業員50人以上のすべての事業所において義務化されるものであり,今後,精神科医がさまざまな形でかかわりを持つことになると思われる。
筆者は,この制度に対する賛否はともかくとして,実施されるからには,少しでも労働者にとっても事業所にとっても有用なものにすべきと考えてかかわっている。精神医療関係者にはこの法案につき関心を持っていただき,内容について見識を深めていただきたいと考える。そして,少しでもこの制度が労働者のメンタルヘルスに寄与するものになるよう協力していただきたいと考えている。この制度の実施に関する具体的な内容や問題点に関しては,別項にて記載されるので,本論文においては,この制度の成立までの経緯を記載すると同時に,その経緯から垣間見られる課題を述べたいと考える。
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