プラクティカル・メモ
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症末期の呼吸不全に対する呼吸介助用具「簡易胸押し器」の試作
谷中 誠
1
,
広瀬 秀行
2
,
風間 忠道
3
,
岩渕 智恵子
1永井病院
2千葉大学付属病院
3国立療養所東埼玉病院
pp.204-205
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103536
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1.はじめに
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症患者における死因の70%は呼吸不全である(東埼玉病院統計).それは,横隔膜,肋間筋等の呼吸筋の変性による筋力低下と脊柱変形による胸郭の変形から肺機能低下をきたすことによる.この末期の呼吸不全は,いわゆる肺胞低換気という状態で,頭痛,意識障害,チアノーゼ,傾眠等を呈する.呼吸不全の初期から「胸を押して」というような胸郭圧迫の要求が,次第に増加し,ついには自力呼吸不能となる.また,死に対する恐怖からか,夜間に胸郭圧迫を多く要求するのが特徴である.この呼吸不全に対して,種々の肺理学療法やコルセット型体外式陰圧人工呼吸装置(原理は鉄の肺一体外より陰圧で胸郭を拡張させて換気させる)の開発が進められているが完全実用化には至っていない.現在のところ,一番重きをたすのは,徒手で胸郭を圧迫して強制的に換気させる用手人工呼吸である.そこで,この用手人工呼吸の省力化を目的とした器具「簡易胸押し器」を試作し,末期患者(図1)に使用を試みたので報告する.
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