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特集 ジストロフィー
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症の機能障害について
Functional disability of P.M.D. (Duchenne type)
鈴木 貞夫
1
,
浅野 賢
1
,
熊井 初穂
1
,
久保田 文彦
1
Suzuki sadao
1
1国立療養所東埼玉病院
pp.545-557
発行日 1975年8月15日
Published Date 1975/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101065
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Ⅰ.はじめに
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症は,幼児期に発症し,進行度の比較的早い疾患で,その機能障害は,運動発達の遅延をはじめ歩容の異常,筋萎縮と筋力減弱を主要症候とし,動作様式の類似性,拘縮・変形の出現,動作能力の低下さらに喪失である.
筋障害の初発部位は,一般的には下肢帯の近位部,即ち腰帯部筋,特に腸腰筋,大殿筋,大腿四頭筋であると云われている.また罹患順序は,上述筋に次いで菱形筋,三角筋,上腕二・三頭筋であるとされている1).関節障害,特に拘縮に関して,下肢では筋短縮(Hamstrings,I.T.B.,Achilles腱),膝・股関節の屈曲拘縮,上肢では上腕二頭筋,回内筋3,4)の短縮が起ると云われている.
障害度は各疾患における病態,特に機能の残存度合,機能と能力の低下度等を把握する一手段であり,本症では動作能力の低下の進行度を示している.しかし,これは病型に応じて著しく異なるものである.
本型における特異的な機能障害,特に筋力,拘縮の特徴に関しては,Price4)が上肢について明らかにしているに過ぎず,全身について此等のことを明らかにしている文献はほとんどみられない.
今回,我々は理学療法の実施に対して,上述の機能障害を明らかにすることは必須の要件であり,理学療法の指針を与えてくれるものと考え,Duchenne型における筋力減弱,拘縮の様相と病態の進行の度合を示す障害度との関係を中心に検討する.
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