論述
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症の脊柱変形
斎藤 篤
1
,
服部 恒明
2
,
森尾 昭
3
Atsushi SAITO
1
1国立療養所下志津病院整形外科
2東京農工大学保健体育学教室
3国立療養所下志津病院放射線科
pp.728-734
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905752
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はじめに
進行性筋ジストロフィー症児(以下DMP児と略す)の療育は,主として国立療養所において行なわれているが,病勢の進行を阻止する根治療法のない現在,患児の病気の進行に応じたリハビリテーションがなされている.最も多いDMP児Duchenne型の日常生活動作のうちその移動能力についてみると,小学校入学後9歳を境として歩行や起立性保持が次第に困難を伴うようになり,症状の進行と共に四つ這い,いざり移動,電動車椅子の使用と次第に移動能力の低下を増す.成長と共にいかに良好な体幹支持とバランスを維持させるか,またいかに脊柱変形を予防するかも大きな間題となる(第1図).
当下志津病院においては畳の上で坐位を自由にとらせ日常生活動作を行なわせるいわゆる"和式療育"を行なつているが,他の施設では下肢の変形と拘縮を積極的に装具により矯正し,起立期間の延長を試みると共に,車椅子を用い腰掛ける生活をとらせるいわゆる"洋式療育"1)6)も行なわれている.畳での生活においては1日のうち両下肢の屈曲位保持期間が長く,下肢の屈曲拘縮が進行し,装具療法により積極的に起立位保持を行なう療育法に比べ歩行期間や起立保持期間は短縮する.
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