特集 障害児教育
<随想>
養護・訓練が理学療法に提起しているもの
大竹 信男
1
1東京都立北養護学校
pp.708
発行日 1984年10月15日
Published Date 1984/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103177
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養護・訓練は教育である.しかし,これまで本誌でも養護・訓練をとりあげることはあったが,いずれも,障害児教育に関係ある立場とはいえ医師およびPT・OTによる紹介・報告であった.本誌の性格からすれば当然なのであろうが,その内容に及んで他領域のものがうんぬんするといったことは,医療に対しては通常ありえないことである.ただ,障害児教育学の研究から「養護・訓練を,教科,特別活動などと共に障害児教育の一領域に加えることが,教育学的に妥当なのか」という趣旨の問題提起がある(障害者問題研究No.29,8~11頁,窪島務:全国障害者問題研究会発行)ほどなので,養護・訓練について医療関係者がリハビリ医療の概念で述べることがあるのもまた当然のことと考えられる.いずれも養護・訓練の目的,内容にかかげられている趣旨の重要性を認めつつも,学齢障害児に対する理学療法の必要性として述べておられる点では共通している.私自身をいえば,PT資格を得た時はすでに養護学校におり,給与表の上でも教育職の一員に加えられて仕事を続けてきた.そして,医療関係者よりはむしろ多くの教師たちから,その仕事ぶりに,ときには批判を受け,また励ましを受けて現在に至っている.したがってPT資格はもはや返上しなければならないのかもしれない.しかし,PTのもつ課題は他人ごとにはならない.解決の方向にできれば加えていただきたい.
理学療法は医師の指示がなければ行われることはない.しかも,“療法”であるから行う目的・有効性は,少なくとも生理学的変化として実証でき説明できるものとなる.
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