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特集 養護・訓練と理学療法・作業療法
養護・訓練とは何か
What Does “Care and Training (Yogo Kunren)” Mean?
高橋 純
1
Jun TAKAHASHI
1
1筑波大学心身障害学系
1The University of Tsukuba, Institute of Human Science for Mentally and Physically Handicapped.
pp.591-595
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102220
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はじめに
障害児教育の現状を見ると,養護学校義務制実施を契機として議論が沸騰しはじめ,特殊教育の見直しが叫ばれ,統合教育推進の呼び声が高い.なかには実情を無視した建前論や,行き過ぎた過激な主張も散見され,少なくともマスコミの上で見る限り,特殊教育は混乱の時期にあるといえよう.教育現場においても,義務教育制の運用が軌道に乗るまで,もうしばらくの間は,試行錯誤を積み重ねて行くことになるであろう.こうした現状の中で,急進的な反対論者の主張にも拘らず,多くの地域では養護学校の数的・質的充実の要請は無視出来ぬものがあり,遠い将来は知らず,当分の間は養護学校の重要性は増すことはあっても,減少することはないと考えて誤りはあるまい.
障害児のために養護学校が選ばれる理由はいろいろあろうが,その一つが「養護・訓練」という,普通校に見られない領域への期待であろう.さらに端的にいえば,「機能訓練をして貰える」というのが,肢体不自由児の親達が養護学校を積極的に希望する,最大の理由といえるのではあるまいか.もちろん養護・訓練は機能訓練と同義語ではなく,更に幅広い内容を持つものであるが,障害を軽減し,実生活上の能力を向上させることに多大の努力が払われている所に,普通校には見られない養護学校の基本的な性格がある.そこに養護学校に対する期待が生れるのであり,養護・訓練は養護学校の特性を象徴するものともいえよう.
以下養護・訓練に関して若干の解説と考察を加えるのであるが,本誌の性格から,対象を肢体不自由に限定し,しかも脳性麻痺(以下CPと略す)を中心として述べたい.
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