とびら
「理学療法」と「作業療法」の間の対話―一精神科医の感想
吉松 和哉
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.1
発行日 1984年1月15日
Published Date 1984/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103006
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今から約20年近く前のことである.大学病院に勤務していた頃,病院の中央診療部門にリハビリテーション部ができ,やがてそこに精神科から週に何回か出向することになった.これがいわゆる精神科作業療法にかかわるようになったはじめての出来事である.その後暫くして,現在の「理学療法士・作業療法士」の制度ができることになり,数回講習会で話をした覚えがある.またそれから大分たってOT・PTの歴史を少し調べる機会があった.そして,敗戦後日本へやってきたアメリカ駐留軍関係者の中に,その道の専門家がいて,我が国のこの方面の発展に大きな刺激を与えたことを知った.敗戦後の焼跡における自分の少年時代とだぶって感慨無量だった.
なお今に至る精神科医としての経験の中では,ある私立精神病院で院長の立場から関係の職員と共に,入院治療の一環として,作業療法の充実のために色々と工夫したことが思い出される.また精神療法はもとより,精神科診療一般における「面接」の大切さは医師になって以来痛感し続けている.これらのことが個人的に精神科作業療法に大きな関心をもつようになった動機であろうか.
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